先日、ベルギー留学時代に時を同じくして現地にいらした仲間の集まり、「Leuven会」が東京で行われました。年に1回はこのような集まりで、昔話に花を咲かせたり、お互いの人生の節目を祝ったりしております。
私は様々な人々に助けられて、ベルギーのKatholieke Universiteit Leuven (KULeuven)に2004年1月から2006年1月まで留学していました。当時は製薬企業に勤めていましたので、「海外研修」と言う制度を当てはめてもらっての留学となりました。とは言え、自分の願望から始まった留学でしたので、「薬づくり」からは遠い基礎生理学・薬理学研究を通して、ポスドクトレーニングを積みました(家族や会社の理解に感謝しています)。 一般的にこの様な研究分野における留学は、アメリカやイギリス、スイス、デンマークなどが多いのですが、私の場合はベルギーを選択しました。理由の第一は、そのボスの下で興味ある研究を通してトレーニングを積みたかったからです。その他に、治安と経済情勢、ヨーロッパの歴史、食文化、自分の趣味が影響したことも大きいのですが... 結局、行先は日本の恩師に紹介状を書いていただける範囲から自分で探し、国際学会のポスター会場でボスにアポ無し面談を決行しました。その時の彼の誠意ある対応が留学先決定の決め手でした。 留学は2004年1月から2年間。もちろんインターネットで情報収集に努めましたが、当時は、今ほど情報が無く、渡航ビザの取得も大変でした。とは言え、国内でしたら日本語に日本並みの対応ですから問題ありません。大変だったのはベルギーに入ってから。 アパート探し、住民登録などの諸手続きなど、ベルギー人の大学院学生に助けてもらいながら生活拠点を作り、並行して、ある実験方法の確立と研究テーマの設定を期限を切られて実施せねばならなかったのです。そのため、留学して3ヶ月間は家内以外に一人の日本人とも会いませんでした(正確には日本人らしき方に会っているのですが交流がなかった)。 最初のラボでのプレゼンが上手くいき、期待する実験データも出つつあった2004年の春以降は、少し余裕が出てきました。その頃、隣のラボに日本人らしき方が別のラボから実験に見えており、意を決して声を掛けたところからからネットワークが広がって、何人かの在ベルギー日本人と知り合いになったのです。 皆、研究のバックグランドは異なりますが、同年代に同じ大学に留学し、苦労した者の絆は強く、このような会だけでなく、プライベートでも交流が続いています。もちろん、ボスを含めベルギーの同僚たちとも、家族ぐるみの付き合いが続いています。 研究者としてステップアップすることはもちろん重要ですが、様々な価値観を理解することができた貴重な経験は何物にも代え難いものです。また、海外に出ることで、日本の良さを再認識し、日本がどうあるべきかを考えさせられるのも事実です。人としてどう生き抜くか、社会とどう関わっていくか、正に人生の勉強をすることができた、貴重な2年間でした。
留学には結構なパワーが必要です。また、周りの理解は必須です。ですから、留学するなら若いうちが一番。でも、多少経済的な余裕のある年代での留学は、人生経験の上では得るものが多いので、チャンスがあれば是非チャレンジしてみてください!