デンマーク研修学生レポート 第十弾
岐阜薬科大学薬効解析学 博士2年 今井 貴彦
今回の研修では、デンマークやオランダといった他国の研究者の方々と実際に交流することで自身の英語コミュニケーション能力の現状把握に加え、基礎研究とは異なった様々な分野を学び、自身の研究の幅を広げることができました。
まずCORS合同研究フォーラムにおいてです。 研究発表においては、専門が異なる研究者に自身の研究内容を理解してもらうにはどう工夫すれば良いかということ学びました。今回の発表はこれまで私が経験してきた学会とは異なり、専門外の聴衆に3分という短い時間で発表する必要がありました。そのため、内容をわかりやすくすること・伝える情報の取捨選択を行うことが非常に重要となり、準備段階から非常に苦労しました。実際の発表の場では基礎研究を行っている方が少ないことに加え、緊張具合や英語能力の点からまだまだ改善すべきことが多くある発表だったと感じました。その後のスモールグループディスカッションにおいては、様々な分野をどのようにレギュラトリーサイエンスとして活かしていくか、何が革新的なアイデアとなるのかなどを議論し、基礎研究から承認段階、そして販売後までの広い視野で研究を行うことの重要性を再認識しました。欧州と日本では制度に差異を小さくするための方法や臨床データをグローバルに共有するための工夫などを議論したことも深く印象に残っています。分野外の内容が多く物怖じしてしまったことが悔やまれますが、良い経験を味わうことができました。
次にBiopeople主催のカンファレンスとテーブルディスカッションにおいてです。 ここでは、バイオマーカーを用いた個別化医療やシステムを国全体で整備することが今後の医療現場でより必要になってくることを学びました。改めて考えてみると、私の研究分野である脳卒中においても遺伝的要因などの患者背景により発症や予後状態がことなることがあるため、個々人にあった治療を意識することは非常に需要です。加えて、そういった患者の情報を病院や研究施設が共有することで新たない治療ターゲットを見出せることもあります。上記のような患者それぞれを意識することの必要性などに関して、再度認識を深めることができたことはとても良かったと思います。テーブルディスカッションでは、産官学の共同を行うためのインフラの整備や情報の開示といったことを議論しました。こちらに関しては自身の研究の際に今まであまり意識していない内容ではありましたが、疾患に立ち向かうためには、大学・研究所・行政組織・企業・病院といった多くの機関が協力できる体制を整えることが必要であると認識しました。事前学習で学んだデンマークの医療制度などを踏まえると、欧州に比べ、日本は電子カルテや医療情報ネットワークの構築などを点において未だ課題があるかもしれないと感じました。
英語でのコミュニケーション能力については、今回の研修の全体を通して、研究発表などで自身の考えを発信することは多少できても、相手から発信された言葉を聞き取ることができなかったため、質疑応答に戸惑うことに加え、グループでの会話についていけなくなるということが多々ありました。このことから英語のリスニング能力が圧倒的に欠如していることを実感したため、将来を見据え英語でのコミュニケーション能力の向上に邁進していきたいと思いました。
最後になりますが、私は将来的に海外で研究を行っていきたいと考えているため、本研修は自身の現状の能力や海外の雰囲気を感じるまたとない機会となりました。この経験で得たものを無駄にせず自身の研究が患者や社会にとってより良いものになるように取り組んでいきたいと思います。そして、本研修プログラムに参加する機会を与えていただきましたグローバルレギュラトリーサイエンス寄付講座塚本特任教授、本研修関係者各位、大塚製薬株式会社様並びに三菱UFJ国際財団様に深く御礼申し上げます。
Takahiko Imai
In this overseas training, I could confirm my English communication skill and enlarge the field of vision in my study by interchanging with the people of various fields.
First of all, I learned many things in research forum with CORS. At the research presentation, I learned how to convey my research content to other researchers which are different to my own theme. Unlike the academic conference which I have experienced, this presentation was very short and audiences were not an expert in my field. Therefore, I felt that choosing information and devising to make it easy were very important. In the subsequent small group discussion, we discussed how to utilize various fields as regulatory science, what is innovative idea in drug development. I reaffirmed that it is important to conduct research with a broad perspective from basic research to the later stage of clinical application. In addition, I was also interesting in discussion about what should we do how to share the clinical data in globally and how to reduce the difference in institutions and system between Europe and Japan.
Next is the conference and table discussion by Biopeople. Here, I learned the importance of precision medicine using biomarkers and maintenance of medical systems by state. Also in my research field, there are differences in onset and prognosis among patients by personal information such the genetic factors. Therefore, I would like to conduct research conscious of individual patients. In the table discussion, we discussed the development of infrastructure and information disclosure for collaborating with industry, government and academia. In order to confront diseases, I learned that it is necessary to prepare a system that allows many institutions to cooperate. Moreover, Japan may still have various issues in developing such systems and infrastructures.
Regarding to my communication skill in English, I felt it necessary to improve listening ability because I could not hear the conversation well. Based on this experience, I will try to study English more hard.
Finally, this training became good opportunity and experiences in my future. I appreciate Prof. Tsukamoto, all participants, Otsuka Pharmaceutical Co., Ltd. and Mitsubishi UFJ Foundation for giving the opportunity to participate in this training program.